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【書評】株式投資初心者が資産を増やす最適解はインデックスファンド【基礎知識】

投稿日:

コロナ渦で経済的に困窮していますが、株価は上がっています。
日経平均も、米国株式も上昇しています。
これは、コロナ渦での経済対策費用が株式投資に回っているとの見方があって、FRBが利上げをするまではこの状況が続くだろうと言われる人もいます。
 
この状況下で、
 資産運用はどうすればいいのか? 
 カモにならないために最低限知っておくべきことは何か?

を教えてくれる本として、
橘玲著 臆病者のための株入門
を紹介します。
 
出版は2006年なので金利や金融商品の内容が古いですが、株式投資の初心者にとっての基礎知識(心構え)としては今でも十分に通用する考え方だと思います。
 

私はどんな人

私は20年ほど前に株式投資をしていましたが、種銭100万円から50万円ほど損して辞めました。
(それ以来、株式投資はせずに、自分の知識を増やそうと資格取得に方向転換しました)

今回読んだこの本では、初心者には米国株式のインデックス投資が最適な方法かな?という理解をしました。
しかし、そのほかのことは自分で確認してみないとわからないというのが正直なところです。
会社で確定拠出年金(401k)をやっているので、これを参考に投資先を変更しようと思って読んでみました。

そんなレベルの私が本書の重要と思うポイントをご紹介します。
 

✔記事の内容

もっとも合理的な投資法【結論】
 株式インデックス投資 
 海外85% 国内15%
株式投資の代表的な手法
 トレーディング(デイトレードを含む)
 個別株長期投資(パフェット流投資法)
 インデックス投資(経済学的にもっとも正しい投資法)
カモにならないための基礎知識
本の目次

 
 

もっとも合理的な投資法【結論】

株式インデックス投資

「投資に“絶対”はない」のが大原則だが、確定拠出年金における万人に正しい投資法は全ての資産を株式ファンドで運用すべき。
 
運用商品は海外市場や日本市場に広く投資するインデックスファンドから選ぶ。
なぜならば、アクティブファンドの平均的パフォーマンスはインデックスファンドに劣っているから。
 

海外株式85% 国内株式15%

確定拠出年金における投資割合は、海外株式85%、国内株式15%の割合で資産配分する。
これは、世界市場における日本株の時価総額が約15%だからであり、これでだれでも簡単に世界市場に投資できる。
 
以上が著者が述べる確定拠出年金での経済合理的にもっとも正しい投資法である。
 
本書の主題はこれだけです。
他の部分は、この結論にいたる説明が書かれています。
 

株式投資の代表的な手法

トレーディング(デイトレードを含む)

  メリット:ゲーム性が高く、いちどハマるとやみつきになる
  デメリット:ゼロサムゲームなので、初心者の大半は敗退していく

個別株長期投資(パフェット流投資法)

  メリット:資本主義の原理に忠実なので、もっとも大きな利益が期待できる
  デメリット:企業調査に時間と努力が必要

インデックス投資(経済学的にもっとも正しい投資法)

  メリット:あまりにも簡単で考える必要すらない
  デメリット:平均的にしか儲からない
 

カモにならないための基礎知識

株の入門書を読んでも株のことはわからない

株の入門書を読んでも株のことはわからないのだ。なぜかって? だって、理解できないようにつくられているのだから。
 
とても簡単にいうと、株の世界にはまったく相容れない考え方が3つくらいあって、それぞれが好き勝手なことをいっている。
 
彼らはむずかしい数式を振りかざしたり、不可解なグラフやチャートをひけらかしたり、お経のような専門用語を唱えて株と蕪のちがいも知らない素人を翻弄し、いつのまにか、わからない奴は無知で愚かな負け犬、という話にされてしまう。
 

だれかが得をすればだれかが損をする

デイトレーダーになれば嫌な会社勤めなどしなくてもいいし、世界じゅうを旅して自由気ままに生きていくこともできる。これはとても魅力的な提案だが、じつはちょっとした罠がある。
トレーディングはゼロサムゲームなのだ。
 
「ゼロサム」は儲けと損の合計(sum)がゼロになることで、全てのゲームの基本形だ。100円を賭けてコイン投げをすれば、いっぽうは00円儲け、他方は100円損して、両者の合計はゼロになる(ふつうはここから手数料が差し引かれ、マイナスサムになる)。
 
株式トレーディングにも、同じ理屈が当てはまる。そのことは、売買が成立したという事実から簡単に証明できる。
 
だれかが100万円を5年間で100億円に増やしたということは、だれかが5年間で100億円(正確には99億9900万円)を失った、ということである。
 

チャートで未来は読めるか?

 
そこで彼らは、「投資家教育」と称して、無料の投資セミナーを開いては初心者に信用取引の仕組みやテクニカル投資の基本を教えている。
 
テクニカル投資というのは、簡単にいえば、株価チャートから未来の株価を占う技法である。
 
私は、広い世の中にそうした秘儀が存在する可能性を否定しないが、次のことだけは断言できる。
 
チャートで儲ける方法が無料の株式セミナーで教えられていたり、近所の書店で売っている株の入門書に書いてあることはぜったいにない。
 

株式会社の誕生 あなたに絶対に儲かる情報はやってこない

タイムマシンに乗って、大航海時代のオランダに行ってみよう。
 
あるとき1人の商人が、船を建造して新大陸から香辛料、絹・木綿などの交易品を持ち帰れば大儲けできると気づいた。
 
このとき、もし航海になんの不安もないとしたら、商人は私財のすべてを船の建造費に投じるだろう。資金が不足したら、親や親戚、妻の両親など、親しいひとから借りまくればいい。
 
それで足りないとしても、船長や乗組員が競うようにお金を差し出すにちがいない。
だって、ぜったいに儲かるんだから。
 
このように、必ず利益を得られる取引に第三者が加わる余地はない。
もうちょっとわかりやすくいうと、おいしい話はあなたのところまで回ってこない
 

債券は金利を予測するゲーム

1万円を年利10%の複利で運用すると、10年後には約2万6000円になる。
そこでこの計算を逆にして、10年目に1万円になるためには、いまいくら必要かを考える。
 
煩瑣になるので計算式は示さないけど、3855円を年利10%で預ければ10年で1万円になる。
したがって、年利10%でお金を運用してくれる定期預金があるときには、10年後の1万円の現在価値は4000円弱になる。
 
このように、現在価値は金利(割引率)によって変動する。
たとえば年利1%であれば、10年後の1万円の現在価値は9053円だ。年利0.001%なら9999円預けてやっと10年で1万円になる。
 
ここから、次のことがわかる。
現在価値は、割引率が高いほど安くなり、割引率が低いほど高くなる。
 
このようにすべての債券は、割引率が決まれば自動的に価格が決まる。すなわち債券投資とは、金利(割引率)を予想するゲームなのだ。
 

株式投資は将来の利益を予測するゲーム

一般に株式投資においては、割引率よりも1株利益の変動が株価に大きな影響を与える。
債券投資は金利を予想するゲームだった。
それに対して、株式投資は1株利益を予想するゲームなのだ。
 

PQの低いひとたち

儲かる銘柄を知っている人は、自分で自分の資産を運用したほうがはるかに得なので、彼らから情報を教えてもらうにはそれ以上の対価を支払わなければならない。
 
PQの高いひとはIQも高いので、給料をもらって情報提供したり、本や講演で稼ごうとしたり、そんな下らないことをするはずがない。すなわち、“儲かる情報”を教えているひとたちはみんなPQが(ついでにIQも)低いのである――。
 
20世紀が生んだ最高の経済学者の1人はこう考えた。
 

効率的ポートフォリオの発見

トービンによれば、合理的な投資家は次のような行動を取る。
 
(1)ローリスク・ローリターンの投資家:全資産を国債(無リスク資産)で保有する。
(2)ミドルリスク・ミドルリターンの投資家:国債と株式ポートフォリオの組合せを保有する。
(3)ハイリスク・ハイリターンの投資家:全資産を株式ポートフォリオで保有する。
(4)超ハイリスク・超ハイリターンの投資家:借り入れ(借金)をして株式ポートフォリオに投資する。
 

経済学的にもっとも正しい投資法

この前提が正しければ、以下の単純な三段論法が成立するとシャープは指摘した。
 
(1)すべての投資家が持つポートフォリオを合計すると、市場に存在するすべての株式の時価総額になる
(2)すべての合理的な投資家は、効率的市場では、同一のポートフォリオを保有している。
(3)となると、投資家が保有するもっとも効果的なポートフォリオは、市場に存在するすべての株式を、市場に存在する割合だけ保有したものになる。
 
まるで一休さんのトンチ話のようなこの三段論法によって、シャープは、株式市場そのものが唯一絶対の効果的ポートフォリオであると結論づけたのである。
 

アクティブファンドがインデックスファンドに負けるのは当たり前

これまで何度となく、ファンドのパフォーマンスが測定されてきた。その結果、金融業界の最高の知性を集めたファンドマネージャーが心血を注いで運用するアクティブファンドのうち、6割から7割近くが市場平均を上回れないという残酷な事実が繰り返し突きつけられているのである(これはアメリカだけでなく、日本のファンドでも同じだ)。
 
コイン投げを1万回繰り返せば、表と裏が出る回数は半々になる。同様に、市場が効率的であれば、ファンドマネージャーの能力にかかわらず、多数の銘柄を保有するポートフォリオの平均的なパフォーマンスは市場平均と一致するはずだ。もしそうなら、人件費などのコスト分だけアクティブファンドがインデックスファンドに負けるのは当たり前――という話になる。
 

カモはどこからともなくわいてくる

「投資家教育」の必要性が叫ばれている。だがほんとうに大事なことは、金融機関では教えてくれない。池に魚がいなくなれば釣りができないように、ネギを背負ったカモがいなくなれば儲けられないからだ。
 
金融商品の仕組みを理解することはそれほど難しくない。インターネットには情報があふれ、書店には大量の専門書が並んでいる。その気になれば、知識を得ることはだれにでもできる。
 
問題なのは、自分が無知なことに無自覚で、なおかつ自分の判断が正しいと信じているひとたちである。
彼らは絶好のカモとして、身ぐるみはがされて市場から退出していくはずなのだが、不思議なことに、どこからともなくつぎつぎと湧いて出てくるのである。
 
誤解されると困るのだが、私は金融機関が収益の拡大を目指すのを批判しているのではない。
どんなビジネスでも、サービスに対して正当な報酬を受け取るのは当然のことだ。
個人投資家は、金融機関を利用しなければ金融市場にアクセスすることができない。
そこでカモられるのは、投資家の自己責任ともいえる。
 
金融市場は人生を豊かにする機会を私たちに与えてくれる。リタイヤすれば、ひとはだれでも一人の投資家として生きていくほかない。
そのとき、まずはじめに知っておくべきことがある。
投資は偶然性に左右されるゲームであり、確実に儲かる方法などどこにも存在しない。
だが、確実に損をする方法ならいくらでもある。
金融リテラシーは、投資家が身を守るための唯一にして最大の武器なのである
 

プライベートバンクはたんなる幻想

(1991年から2004年9月までの約13年間の運用データで比較して)
1991年に1億円をこのプライベートバンクに預けると、2004年には2億400万円になった。
同じ金額を世界市場ポートフォリオで運用すれば、2億1600万円になっている。
ということは、“世界最高”の運用サービスは、インデックスファンドで適当に運用し、サービス料金として1200万円をふんだくったのとなんら変わりないことになる。
プライベートバンクの顧客になったという自己満足のために年間100万円ちかい手数料を支払うのは自由だが、一般的にはこれを賢い投資とはいわないだろう。
 
 
この本では、ジェイコム男やホリエモンのことも解説されていて、面白いです。
 

本の目次

はじめに 臆病者には臆病者の投資法がある
第1章 株で100万円が100億円になるのはなぜか?
第2章 ホリエモンに学ぶ株式市場
第3章 デイトレードはライフスタイル
第4章 株式投資はどういうゲームか?
    株っていったいなんだろう
    株価はどうやって決まるの?
第5章 株で富を創造する方法
    「神様」の投資術
    株式評論家で儲けるには
第6章 経済学的にもっとも正しい投資法
    世界一簡単なファイナンス理論早わかり
    経済学者とウォール街のたたかい
第7章 金融リテラシーが不自由なひとたち
第8章 ど素人のための投資法
    1 アセットアロケーション
    2 国際分散投資
    3 為替リスク
    4 トーシロ投資法
    5 世界市場ポートフォリオ
    6 トーシロ投資法vs.プライベートバンク
参考文献
あとがき 追証がかかった日

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